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ニューモラル「心のしおり」

​「心のしおり」について

毎号のニューモラルのテーマについて、わかりやすくまとめています。
学習の資料としてもご活用ください。

【Vol.184】「おせっかい」のすすめ

「困っている人」や「手助けが必要そうな人」を見かけたとき、力になりたいという気持ちが芽生えたとしても、なかなか行動に移せないことがあるのは、なぜでしょうか。
 例えば「電車の中で年配者に席を譲る」という行為について考えてみると、相手の姿を目にした後、実際の行動に移すかどうかをめぐって、いろいろと頭を悩ますことがあります。それは、単に「自分も疲れているから、できればこのまま座っていたい」という場合もあるでしょうが、「自分が声をかけることで、かえって相手に不愉快な思いをさせるかもしれない」という不安から、声をかけることをためらう場合もあるのではないでしょうか。こうした場合は「相手の気持ちを推し量ったばかりに、実際の行動に出ることが難しくなってしまった」といえます。
 しかし、本当に「相手のため」を思って席を譲ろうという気持ちが起こったのであれば、「何もしない」という選択をするのは惜しいことです。思い切って声をかけてみると、事前にあれこれと気を回したほどのことはなく、よい結果を生む場合も多いのではないでしょうか。
 確かに、純粋な「思いやりの心」から行動を起こしたとしても、思うような結果を生まないことはあります。それは、どれだけ相手のことを思いやろうとしても「自分の視点から相手の気持ちを推し量ること」には限界があるからではないでしょうか。そういうときこそ「相手の気持ちや状況をきちんと確かめること」が必要になるのです。まず声をかけてみることは、その第一歩でしょう。
「相手のため」を思ったなら、まず行動に移してみること――それは「おせっかい」と呼ばれる行為かもしれません。もちろん「親切の押し売り」にならないように配慮する必要はありますが、「他人のことにはあまり干渉しない」という風潮が行き過ぎると、「無関心」による冷たさを助長することにもなりかねません。
 少しの「おせっかい」によって相手の役に立つことができれば、そこには温かい心の交流が生まれ、人間関係を築いていくきっかけとなります。その意味で、小さな「おせっかい」は社会の潤滑油といえるのではないでしょうか。

平成29年6月号

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